社会人を経験してから大学院に入る (3) 学術的資料の集め方

大学院受験では論文の提出を求められる場合がある。

大学学部在籍時からそのまま大学院受験する場合は、卒業論文を提出することができる。
ただ、(私のように)卒業してから時間が経ってしまったり、専門分野が学部と大学院で大きく異なる場合は、応募条件の規定に合うように新たに論文を準備した方が良い(と思う)。

論文を執筆する場合は、学術的な書籍や論文の引用をぜひ入れたい。

しかし、現役の学生であれば大学図書館を利用すれば良いから意識すらしないことだが、大学に所属していない社会人にとっては、この学術的な書籍や論文の入手というのは自分でなんとかしなければならない切実な問題になる。

書籍の入手となると、身近な存在として公立図書館がすぐ思い浮かぶ。
読書好きだったら、小中高生の時によく利用したという人も多いかもしれない。
しかし、公立図書館は地域住民に役立つ書籍や資料の収集に重点を置いているため、特定分野の論文や専門科目の試験準備に役立つような専門書まで揃えているとは限らない。

東京と京都の2ヶ所にしかないが、国立国会図書館に行くことができるのであれば、一度は利用してみたい。
国立国会図書館には日本で出版された全ての書籍が所蔵されているので、公立図書館に置かれていないような学術書も必ず見つかる。

ただし、公立図書館とは異なる利用ルールがあるので、実際に訪れる前によく確認したい。
例えば、国立国会図書館では書籍は閲覧のみで借りることができない。
複写するとしても、著作権のため複写できるページ数には制限がある(複写はもちろん有料)。
また、ほとんどの書籍が書庫にあるため、お目当ての書籍の閲覧を申請し、司書の人に取り出してもらって、カウンターで受け取る。
楽でとても良いけれども、本棚に並べてある数多くの本から、お目当ての本を探し出すのが好きな人にとってはちょっと寂しいかもしれない。
そのほか、閲覧室には大きい鞄が持ち込めないので、ロッカーに預けて、必要最低限のものだけを透明の袋等に入れて持ち歩く。
…などなど慣れていないと少し戸惑うルールがある。

しかし、学術書等に収容されている特定の論文だけを読みたい時は本当にとても助かる。
私は大学院受験準備の際には京都にある国立国会図書館(関西館)を度々利用した。
知的好奇心を高めてくれるような斬新でモダンな建物がとても好きだった。
透明の袋は図書館にも設置されていたが、私は透明でビニール素材のお気に入りのマイトートバッグをいつも持参した。
大学院受験で気持ちは焦っていたけれども、知的好奇心をくすぐるような空間で勉強できることはちょっと楽しかった。

ちなみに、国立国会図書館には、デジタルコレクションというのがある。
館内でしか閲覧できないものもあるが、館外から閲覧できる書籍もあるみたいだ(利用者登録要)。
実際の国立国会図書館には場所的に誰でも通えるわけではないし、通えるとしても自宅から離れている場合は、移動時間がかかったり、電車代やバス代がかかったりする。
自分にとって必要な資料が閲覧できるかどうか、一度確認してみても良いかもしれない。

そのほか、場所や時間を問わず、より手軽に書籍を入手するとすれば、やはりインターネットでの書籍購入が身近な手段になる。
大きな本屋さんが近くにあれば、本屋さんで購入するというのもあり得るが、大学院受験のように、時間的にも精神的にも切羽詰まっている場合は、インターネットを使った方がお目当ての本を入手しやすい。
本来であれば、新しい書籍を手に入れたいところではあるが、予算的に限界がある場合はAmazonなどで中古品の学術書を入手できることもできる。新品で販売されていない書籍が中古品で見つかるなんてこともある(ただし、金額はそれ相応)。

ただ、その書籍が論文執筆に絶対に必要であることがわかっていれば、お金をかけてでも入手するかもしれないが、どんな内容かちょっと知りたいという状態であれば、むやみやたらに、そう何回もお小遣い用のお財布を開くわけにもいかない…。
だからこの書籍入手というのは本当に悩ましい。

人文系は理系より研究活動にお金がかからないものの、どのような経路を使うにしても、研究資料入手にはお金や労力がかかる。
また、研究資料の入手は大学に所属していないとどうしても限界がある。

学部生であるうちはあまり意識していないかもしれないが、大学に所属する学生であることの最も大きな恩恵は、大学図書館とその図書館が提供する学術雑誌購読契約などの巨大な知のリソース(資源)を自由に利用できるということなのだと私は思う。

最近は、学術論文の多くがインターネット上の電子的な学術雑誌(ジャーナル)で発行されているので、そちらについても書きたいが、ちょっと長くなったので、次回にさせていただきますね...。

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